メニューと料金を決めるのは、単に値段表を作る作業じゃなくて、経営の骨格を決めるようなものだと僕は思っています。ここをどう設計するかで、来てくれるお客様の層も、毎月の売上も、働き方の忙しさも、全部変わってきます。
不安から、安さで集客しようとしない
「お客様が来なかったらどうしよう」という不安から、開業当初に価格を低く設定してしまう人、本当に多いです。気持ちは痛いほど分かります。でも、一度安くした価格を後から上げるのは、想像以上にしんどいです。安さに惹かれて来てくれたお客様は、基本的に「安いから」来てくれています。価格を上げた瞬間、その関係は終わってしまいます。
だったら最初から、「その価格に見合う価値をどう伝えるか」を考えた方が、結果的にずっとラクです。僕はそう思って、単価を下げる方向には最初から振りませんでした。
メニューと値段の決め方が、働き方のほとんどを決める
ひとりサロンの場合、1日に施術できる人数には物理的な上限があります。だから、目標にしている1日の売上を、その上限人数で割ってみると、単価をどこに設定すべきかが見えてきます。
たとえば、1日5万円の売上が欲しいとします。カットを4,000円で設定していたら、10人来てようやく4万円、12人で4万8,000円、13人来てやっと5万2,000円。5万円を超えるだけで、13人も施術しないといけない計算になります。
でも、これがカットカラーで17,000〜18,000円くらいの設定なら、3人施術するだけで5万円を超えます。同じ「1日5万円」でも、単価設定次第で、13人施術する日と3人施術する日ぐらいの差が生まれる。メニューと値段の決め方は、結局そのまま自分の生き方や働き方を決める部分に集約されていくんです。

「周りがこの値段だから」というマインドブロック
「周りの相場がこれくらいだから、自分もこれくらいの価格にしないと」という気持ち、僕もすごくよく分かります。正直、僕自身も開業する前、ホットペッパーで周りのお店の値段を見て、「このぐらいの価格にしようかな」「これより2,000円くらい高くしたら、お客さんびっくりするかな」みたいなことを、結構葛藤しながら考えていました。
でも今振り返ると、周りの相場から少しだけずらすんじゃなくて、もっとちゃんと自分のカット価格そのものについて、ゼロから考えた方がよかったなと思っています。自分が提供したい価値に対して、本当はいくらが適正なのか。相場を逸脱するような価格設定でも、その価値がちゃんと伝われば、地域の中でお客様はちゃんと来てくれます。
僕たちがおすすめしたいのは、高単価のお店づくりです。極端に言えば、地域で一番高い価格帯のお店を目指すぐらいの気持ちを持ってもいいと思っています。
苦手なメニューや、利益が薄いメニューは、思い切って削っていい
これはひとりサロンだからこそ言えることかもしれませんが、自分が苦手なメニューや、手間の割に利益が取りにくいメニューは、開業のタイミングで思い切って削ってしまうのも一つの判断だと思っています。全員に対応しようとするより、自分が自信を持って提供できるメニューに絞った方が、結果的にお客様にも良いものを届けられます。
もちろん、これはあくまで考え方の一つで、幅広いメニューを揃えるやり方が悪いわけではありません。ここは自分のスタイルに合わせて決めてもらえればと思います。
メニューは、シンプルな方が伝わる
技術に自信があるほど、メニューを細かく作り込みたくなる気持ちも分かるんですが、お客様からすると、選択肢が多すぎるメニュー表はむしろ選びづらいです。「結局どれを選べばいいの?」と迷わせてしまうと、それだけで予約のハードルが上がります。
迷ったらこれを選んでおけば間違いない、という軸になるメニューを2〜3個用意しておく。あとは、コンセプトから外れるメニューは思い切って削る。メニュー表はお店の看板と同じくらい大事なものなので、シンプルさを意識して作った方がいいです。
「値上げ」じゃなく、「価格改定」という感覚で
最初に決めた価格を、ずっと同じままにしておく必要はありません。提供する価値がちゃんと積み上がっていけば、そこに見合う形で少しずつ価格を改定していくという視野も、最初から持っておいていいと思います。
これは「値上げ」というより、「価格改定」という感覚に近いです。値段を上げる分、提供する価値もちゃんと上げていく。この両方がセットになっていれば、価格を変えることに、それほど後ろめたさを感じる必要はないと僕は思っています。
高単価だけが、正解というわけじゃない
ここまで高単価をすすめる話をしてきましたが、別に「高ければ高いほどいい」と言いたいわけではありません。リーズナブルな価格で、できるだけ多くの人に価値を届けたいという考え方も、もちろん間違いではありません。
僕がここで話しているのは、あくまで「僕はこう考えて、こう決めました」というひとつの実例です。自分がどんな働き方をしたいか、どんなお客様に、どんな形で価値を届けたいか。そこに合わせて、自分なりの価格を決めてもらえればと思います。
「自分の技術やお客様層に対して、適正な単価がいくらなのか分からない」という方は、一緒に数字を見ながら考えることもできます。
単価の話は特にデリケートなので、ひとりサロン部でこっそり相談してもらえたらと。



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