開業準備をしていると、「資金がいくら必要か」ばかりに目が行きがちなんですが、実はもうひとつ、開業前に絶対に知っておいてほしい数字があります。それが「損益分岐点」です。
正直、数字の話ってだけで苦手意識を持つ人も多いと思うんですが、これはそんなに難しい話じゃありません。ここを知ってるかどうかで、開業後の安心感がまったく違ってくるので、僕なりの考え方をまとめておきます。
損益分岐点って何?
ざっくり言うと、「今月、赤字にならない目安の売上ライン」のことです。この線を超えれば黒字、下回れば赤字。すごくシンプルな話なんですが、この線を自分の頭の中にちゃんと持っているかどうかで、経営してるときの精神的な余裕がまったく変わってきます。
出ていくお金には2種類ある
経営してると、お金は毎月出ていきます。でもこれ、実は2種類に分けて考えると急にわかりやすくなります。
固定費は、売上があってもなくても毎月必ず出ていくお金。家賃、広告費、雑費なんかがこれです。変動費は、売上に応じて増減するお金。薬剤、消耗品、カード手数料、物販の仕入れなどがここに入ります。
僕の感覚だと、この2つを分けて考えられるようになった瞬間、経営の解像度が一段上がります。
技術売上と物販売上は、同じ1万円でも中身が違う
これ、意外と見落とされがちなんですが、技術売上と物販売上は、同じ1万円でも手元に残る金額が全然違います。技術の場合、材料費の比率はだいたい5〜15%くらいなので、残りの大部分が利益になります。一方で物販は、原価が50〜70%くらいかかることが多いので、同じ1万円を売り上げても、手元に残る金額はぐっと少なくなります。
だから「売上」という数字だけを見ていると、実態を見誤ります。技術と物販、それぞれ別々に考えるクセをつけておくと、あとで数字が合わなくて焦る、みたいなことが減ります。
損益分岐点を下げる、2つの方法
損益分岐点は、下げれば下げるほど経営は楽になります。下げ方は大きく2つあると思っていて、ひとつは固定費を下げること。これは契約前の判断が一番効きます。家賃を月10万円下げられたら、それだけで毎月10万円分、経営の余裕が生まれる計算になります。
もうひとつは変動費を下げること。仕入れを最適化したり、薬剤を必要な分だけ使ったり。地味な工夫ですが、これも積み重なると馬鹿にできない金額になります。
契約する前に、この線を引いておく
損益分岐点の話で一番大事なのは、実はタイミングだと思っています。オープンしてから「思ったより経費がかかる」と気づくんじゃなくて、物件を契約する前に、自分の損益分岐点がどのあたりになりそうかを計算しておく。これができているかどうかで、その後の経営の安定感がまったく変わってきます。

自宅サロンという選択肢
テナントを借りずに、自宅の一部をサロンにする「自宅サロン」という形もあります。家賃がかからない分、スタートの時点で損益分岐点がかなり低くなるので、経営のしんどさを考えると、これはかなり大きなアドバンテージです。
たとえば駅前で家賃50万円の物件と、郊外や自宅で家賃10万円の場合。この時点で、損益分岐点は40万円分も変わってきます。同じ技術力、同じ集客力でも、スタートラインがこれだけ違うと考えると、家賃をどこまでかけるかは、本当に慎重に決めた方がいいと僕は思っています。
「低い家賃×上手な仕入れ」が、強い経営をつくる
結局のところ、僕がいつも思っているのは、「低い家賃×上手な仕入れ=強い経営」だということです。無理に高い家賃の物件を背伸びして借りるより、損益分岐点を低く抑えておいた方が、精神的にも数字的にもずっと楽になります。
そして利益が出れば、その分を設備投資や薬剤のグレードアップに回せる。それが結果的に、お客様の満足度にもつながっていきます。資金計画を立てるときは、ぜひこの「損益分岐点」も一緒に計算してみてください。
「自分の場合、損益分岐点がいくらになるのか分からない」という方は、一度僕たちに相談してもらえれば、一緒に数字を出すこともできます。
数字の話、苦手な人ほどひとりサロン部で一緒にやった方が早いと思います。



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