カット単価を5,970円から11,300円にした、僕なりの理由

千葉県市川市でひとりサロン「yuit」をやっている、林です。今日は、ちょっと個人的な話をしようと思います。カット料金を、5,970円から11,300円まで上げてきた話です。数字だけ見ると「値上げに成功した経営者の武勇伝」みたいに聞こえるかもしれませんが、実際はそんなにかっこいい話じゃなくて、結構泥臭い経緯があります。

目次

5,970円だった、あの頃

独立する前、僕が働いていたお店でのカット料金は5,970円でした。正直、当時の自分でも「これは高いな」と思っていましたし、実際そのエリアの中では高めの単価のお店だったと思います。もともとは税込4,950円だった料金が、お店の方針の流れでいつのまにか5,970円になっていて、お客様から「高いですね」と言われることも普通にありました。

でも、そこで面白いことに気づいたんです。その値段に慣れているお客様は、ちゃんとついてくる。高めの単価のお店には、その単価に見合う感覚を持ったお客様が自然と集まってくる。これは独立する前に、現場で身をもって知ったことでした。


独立を機に、勉強して出した結論

独立を考え始めてから、僕はいろいろ勉強しました。経営の本を読んだり、先輩経営者の話を聞いたりする中で、「プライベートサロンでやるなら、客単価は高めの方がいい」という考え方に、だんだんたどり着いていきました。一人でやる以上、対応できるお客様の数には限りがあります。だったら、その限られた人数の中で、ちゃんと事業として成り立つ単価を設定するべきだ、と。

じゃあ、自分もそうしようと決めて、奥さんに相談してみました。話し合った結果、決めた金額は8,800円。これでいこう、ということになったんです。一見あっさり決まったように聞こえるかもしれませんが、実はこの数字が固まるまでに、何度も話し合いを重ねました。


「無理じゃない?」という、正直な反応

ただ、この8,800円という価格、周りからはかなり反対されました。奥さんからも「無理じゃない?」「そんな価格で来る人いなくない?」「このあたりにお金持ちの人なんて住んでるの?」みたいなことを結構言われましたし、親族からも「高くない?」という空気を感じました。みんな悪気があって言っているわけじゃなく、単純に心配してくれているだけなのは分かっていたんですが、一番近くにいる人たちからそう言われると、やっぱり心が揺れます。

それでも、自分なりに勉強してきたことがあったので、この価格でやっていくべきなんじゃないかという思いだけは持ち続けていました。正直「本当に大丈夫かな」と不安になりながらも、最終的には自分の判断を信じて、腹を括って進めることにしたんです。


実際のオープン価格は、7,070円だった

結局、8,800円という価格は看板として掲げつつ、初回のお客様だけ20%オフにすることにしました。実質7,070円くらいでのオープンです。いきなり満額でスタートする勇気までは、正直そのときの自分にはありませんでした。オープン直後は物珍しさもあったんだと思いますが、その価格帯でちゃんと来てくれる方が何人もいて、「独立してよかった」と素直に思えた時期でした。


初回割引をやめてみたら、意外と大丈夫だった

しばらく経ってから、初回割引をやめて、正真正銘の8,800円にしてみることにしました。正直「これでお客さんが減ったらどうしよう」という不安はありましたが、蓋を開けてみると、思っていたより普通に回っていきました。「あれ、別にこの価格でもいけるじゃん」という実感が、少しずつ積み上がっていった感覚です。

そこから少しずつ価格を見直していって、今は途中経過ではありますが、カットトリートメントで11,300円という価格になっています。それでも、ちゃんと選んで来てくださる方がいらっしゃいます。価格を上げるたびに感じていた緊張が、今では「これだけの価値を提供できているなら大丈夫」という、もう少し落ち着いた自信に変わってきました。


本当に、2倍の価値を提供できているのか

5,970円だった頃の自分と、今の自分。本当に2倍の価値を提供できているのか、これは今でも自分に問い続けていることです。答えとしては「できている」と思っています。プライベートな空間で、しっかり時間をかけたカウンセリングをして、一人ひとりに合わせた提案をする。忙しく数をこなすだけの施術ではなく、その人のためだけの時間を作る。そういう積み重ねが、今の価格の中身になっていると思っています。

そして何より、こうしてリピートしてくださる方がいるということ自体が、価値を感じてもらえている一番分かりやすい証拠だと思うんです。一度きりの来店で終わらず、また次も予約してくれる。この積み重ねが、僕の中では一番の安心材料になっています。


一番のボトルネックは、値段じゃなくて自分だった

ここまでの経験を振り返って、はっきり分かったことがあります。価格を上げるときに一番の壁になるのは、周りの反対でも、お客様が離れることへの不安でもなく、結局「自分が提供できる価値はこれくらいだ」という、自分自身のマインドブロックなんだと思っています。周りの反対も正直かなり効きますが、一番手強いのは、自分で自分の価値に上限を設けてしまうことでした。


1泊8,000円の宿と、1泊4万円の宿

ここで少し話がそれますが、これはホテルで考えるとイメージしやすいと思っています。1泊8,000円くらいで泊まれる宿もあれば、1泊4万円する宿もあります。ホテルの本質的な価値、つまりコアサービスは「泊まれること」で、そこはどちらも変わりません。でも、そこに乗っかっている「付加価値」の部分に、大きな金額の差がついているわけです。

こういう付加価値に値段がついているものって、実は世の中にたくさんあります。「八ヶ岳の朝日を浴びて育った野菜です」と言われると、なんだか美味しく感じてしまいますし、日本車は性能が良いというイメージだけで選ばれることもあります。ブランドのバッグやTシャツも、同じ綿素材なのにロゴが入っているだけで値段が3倍にも4倍にもなる。これも全部、付加価値です。


付加価値は、勝手にはつかない

ただ、ここで大事なのは、「付加価値をつけて売ればいい」んじゃなくて、「付加価値をつける努力をして、それを売るべき」だということです。値段を先に上げれば価値が後からついてくるわけじゃありません。ちゃんとしたブランドは、みんなこの順番でやっています。価値をつくる努力をして、それを知ってもらう発信をして、実際に体験してもらう。この3つが揃って、初めて価格に意味が生まれます。

もし今、自分の価格に自信が持てずにいるなら、一度「自分は本当にその価値をつくる努力をしているか」を振り返ってみてほしいです。そして、それができているなら、あとは自分の中のマインドブロックを外すだけです。周りに反対されても、僕は今、あの時8,800円に踏み切って良かったと思っています。

「自分のお店の適正価格が分からない」「価格を上げる勇気が出ない」という方は、一度僕たちにお手伝いさせてもらいながら、一緒に整理してみませんか。


値決めの話、ひとりサロン部でもっとぶっちゃけて話してます。

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この記事を書いた人

林 真之の漫画風イラスト

林 真之

集客・マーケティング・事業設計

ホームページや数字も含めて、どう伝え、どう選ばれる店にするかを考えます。

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