物件探しって、開業準備の中でも一番テンションが上がる瞬間だと思います。実際に自分のお店になる場所を見て回るから、ワクワクするのは当然。でも同時に、ここが一番「勢いで決めて後悔しやすい」ポイントでもあります。
僕自身も物件を決めるまでにけっこう悩みましたし、独立を考えてる美容師さんから物件の相談を受けることも多いんですが、話を聞いていると「そうそう、そこで悩むんだよね」というポイントがだいたい決まっています。今日は、僕が実際に経験したことや、相談を受けてきた中で感じている、物件探しで押さえておきたいことをまとめます。
ネットに出てる物件だけで探そうとしなくていい
物件探しって聞くと、まずSUUMOみたいな不動産サイトを開くと思うんですが、実はいい物件ほどネットに出てなかったりします。今営業中でまだ募集をかけてない物件とか、閉店したばかりでこれから空く物件とか。エリアの家賃相場を知るにはネットはすごく便利なんですけど、「ネットに出てる=全部」ではないんですよね。
僕がおすすめしているのは、不動産会社に希望を伝えつつ、自分でも実際に街を歩いてみること。「あれ、ここ空きそうだな」みたいな物件は、意外と歩いてみないと気づけません。
駅近にこだわらなくていい
「美容室だから駅近じゃないと」って思い込んでる人、結構多いんですけど、僕はそう思っていません。居酒屋とかだと駅近が大事なのは、お酒を飲んで運転できないから徒歩や電車で来る前提があるからで、美容室は車で来て車で帰れます。むしろ郊外の住宅街の方が、車移動が生活の中心のお客さんにとっては便利だったりするんです。
郊外は家賃も安いし、駐車場も確保しやすい。ただ、将来スタッフを雇う予定があるなら、駅からのアクセスは採用のときに響いてくるので、そこだけは頭に入れておいた方がいいです。
「美容室OK」と書いてなくても、とりあえず聞いてみる
物件サイトに「美容室相談可」と書いてないと、最初から候補から外してしまう人が多いんですけど、それはちょっともったいないです。「書いてない」と「不可」は別物です。
美容室は水をたくさん使うので、2階以上だと大家さんが漏水を心配して慎重になることはあります。でも逆に、美容室が入ることでビル全体の印象が良くなると喜んでもらえるケースも普通にあります。気になる物件があったら、まずは聞いてみる。それだけで選択肢がぐっと広がります。
家賃より、契約条件をちゃんと見る
「家賃は売上の10%以内に」ってよく言われますが、これは絶対のルールじゃありません。家賃の数字だけ見て安心するんじゃなくて、契約条件全体で判断した方がいいです。
特に見落とされがちなのが、普通借家契約か定期借家契約かの違い。定期借家だと契約期間が終わったときに更新されないので、内装にかけたお金を回収しきる前に出ていかなきゃいけないリスクがあります。契約期間、途中解約の条件、保証金、更新料、原状回復の範囲。美容室は内装に数百万〜1000万円以上かけることもあるので、ここを曖昧にしたまま契約するのは正直かなり怖いです。

時間帯を変えて、何度か見に行く
内見って、だいたい1回、それも昼間の一瞬しか見ないまま決めてしまう人が多いんですけど、朝と昼と夕方と夜だと、同じ場所でも街の表情が全然違います。自分のお客さんが来そうな時間帯に、実際にその場所に立ってみてほしいです。
車通りが多い場所は「渋滞してて嫌だな」と思うかもしれませんが、逆に「看板を見てもらえるチャンスが多い」とも言えます。街の雰囲気とか、年代層とか、女性のお客さんが一人で来ても安心できそうか。そういうのは、何回か通ってみないと分からないことです。
契約する前に、内装業者さんにも見てもらう
これ、本当にやってほしいんですが、美容師の目線と内装業者さんの目線って全然違います。給排水、電気容量、ガス配管。技術的な部分は、プロに見てもらわないと分からないことだらけです。
居抜きかスケルトンかで悩む人も多いんですが、「どっちが安いか」で決めるんじゃなくて「自分がやりたいプランにいくらかかるか」で考えた方がいいです。居抜きも、「何が残ってるか」じゃなくて「何が使えるか」で見る。美容室じゃない、例えば飲食店の居抜きでも、給排水の設備がそのまま使えることがあります。物件探しの段階から内装業者さんに相談しておくと、内見のときに撮る写真とか、管理会社に聞くべきことも変わってきます。
100点の物件は、たぶん存在しない
最後に、これが一番伝えたいことかもしれません。完璧な物件って、たぶんこの世に存在しないか、存在してもタイミングが合いません。物件探しって、正直「ご縁」みたいなところがあります。
だから僕がおすすめしているのは、「絶対に譲れない条件」と「できれば欲しい条件」を先に分けておくこと。いい条件と悪い条件はセットで来るのが普通です。「渋滞するけど視認性は抜群」とか。大事なのは、「この場所で、自分ならどうやっていい美容室をつくるか」を自分で決めること。それが物件選びの本質だと思っています。
独立予定がまだ先でも、気軽に物件を見に行くのはおすすめです。相場観も判断基準も、見た数だけ養われていきます。
迷ったら、一人で決めなくていい
物件選びは、開業準備の中でも特に「勢い」で決めてしまいやすいところ。僕たちがお手伝いする中では、物件の情報を一緒に見ながら、契約条件の確認や相談に乗ることもあります。
「この物件、実際どうなんだろう」と迷ったときは、一人で抱え込まずに、一度誰かに相談してみてください。
物件の話、リアルタイムで悩んでる人はひとりサロン部で愚痴ってもらっても大丈夫です(笑)。



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